2019年02月24日

気体分子の衝突の平均時間について 〜ファインマン物理学より〜

おはようございます。
去年の夏に頭を手術をしてから、非常に状態が良くなっていますねえ。
最近つくづくゆとりは大事だなあと実感しております。

まあ、そんなこともあって、最近は学生時代に買ったはいいけど読めていなかった(読める状態でなかった)ファインマン物理学を、次の仕事で物理を使う関係もあって(転職です!)、今更ながら読んでおります。

現在、V巻の途中まで読んで、非常に良い本だなあとは思いつつも(所々わからない部分もありつつも、笑)、U巻の内容で、少し気になる記述がありますので、気分転換もかねて、今回はそれについての話になります。

その気になるところは、U巻第18章1の熱平衡にある気体分子の「衝突間の平均時間」(\(\tau\))が、「任意の時刻から出発して、つぎの衝突に至るまでの平均の時間」と等しいという話で、この話を「このいささか驚くべき事実」と表現している部分なのですが、別に驚くべきではないんでないの?という話です。

この2つの時間が同じになるのは要するに、(直近の衝突からの)任意の時刻における一定時間での衝突確率は(少なくとも分子の数が十分多い場合は近似的には)一定という前提からきていると思うのですが、「衝突間の平均時間」の議論の段階で、既にその仮定を使っている(少なくともその仮定のもとの議論と同じことをしている)のではないかと思うのですよね。

その箇所がどこかというと時刻\(0\)から\(t\)までに1つの分子が全く衝突しない確率\(P(t)\)を求める部分になります。この部分では、まずは\(N_0\)個の分子において、時刻\(t\)まで衝突していない分子数\(N(t)\)の式を求めることで議論していると思いますが、その際に上の仮定を使っていると思うのですよ。

\begin{equation}
\frac{dN(t)}{N(t)}=-\frac{dt}{\tau} \tag{18.4}
\end{equation}

ここで、\(-\frac{dt}{\tau}\)は時間\(dt\)の間での衝突確率で、時刻\(t\)に寄らず一定。注意すべきは、時刻\(t\)で生き残っている\(N(t)\)個の分子の中には、直近の衝突からの時間が\(t\)未満のものはないことかと思います。要するに、直近の衝突からの時間の分布に偏りが生じているということになるかと思います。例えば、すべての分子が正確に\(\tau\)の間隔で衝突を繰り返しているなら、時刻\(\tau\)までは衝突確率が大きくなっていき、\(N(\tau)=0\)とならなければいけないと思います。
でもそういったことはせずに、そのまま積分して

\begin{equation}
N(t)=N_0 e^{-\frac{t}{\tau}} \tag{18.7}
\end{equation}

よって

\begin{equation}
P(t)=e^{-\frac{t}{\tau}} \tag{18.8}
\end{equation}

この結果を使って、任意の時刻での次の衝突までの平均時間が\(\tau\)になるとなっているかと思いますが、いやいや、そりゃそうなるような仮定で計算したからじゃないのかい!という気がしますが、どうでしょう?

その結果がちゃんと同じになるという数学の妥当性(完成度)ということならわかる気がしますが。

なにやら文句を言っているみたいですが(笑)、まだ半分くらいしか読めていないとはいえ、ファインマン物理学は非常に良い本だと思います。

以上です。
posted by ゴマフ犬 at 09:08| Comment(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月23日

6(9)の鏡像の認識

さて、お久しぶりです。
以前の記事で文字の鏡像の場合でも、人によって認識が分かれそうなものの例を挙げましたが、かなり分れそうなものを思いついたので、その紹介になります。

さて、以下がその鏡像のイラストになります。

6and9_a.png

さあ、これはどの方向に逆になっているでしょう?
まずは「6」の鏡像とみる(または、自分の記憶上の「6」との比較で考える、以下この記述は省略)か「9」の鏡像とみるかにもよると思いますが、それぞれの鏡像とみた場合の幾何学的な正解(と言っていいのかは微妙な気もしますが、苦笑)のイラストは以下のようななると思います。

6and9_b.png

「6」の鏡像とみた場合、x6軸方向に逆
「9」の鏡像とみた場合、x9軸方向に逆

ただ、実際に人に聞いた際にどうなると思うかというと、

「6」の鏡像とみた場合
x6軸方向に逆
(対象の軸と勘違いして)x9軸方向に逆
(斜めの軸を考えることができずに)わからない
(比較しやすいように鏡像を回転させるなどして)左右が逆(上下はたぶんあんまりいない)

「9」の鏡像とみた場合
x9軸方向に逆
(対象の軸と勘違いして)x6軸方向に逆
(斜めの軸を考えることができずに)わからない
(比較しやすいように鏡像を回転させるなどして)左右が逆(上下はたぶんあんまりいない)

自分が振り返った時に(立った状態でふつうにみて)見える実物の鏡像としてみた場合
左右が逆

などなど、いろんな認識をする人がいる気がします。(確認はしていませんが、笑)

さて、この場合の斜め方向は比較的認識しにくいと思いますが、(左右でも上下でもない)斜め方向が常に認識しにくいかというと恐らくそんなことはないと思います。

例えば以下の場合

6and9_c.png

この2つの矢印はどの方向に逆になっているでしょう?
そりゃ、まあ矢印の方向でしょう!(笑)

こういった認識に関する部分で明確(かつ単純)な予測基準を作るということが如何に難しいかということかと思います。
その場その場で主観的に判断してもある程度は当たりそうな気もしますが(そもそもそれをやってのこの記事ですが、笑)。

簡単ながら、以上です。
posted by ゴマフ犬 at 10:22| Comment(0) | ちょっとした科学の話など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月20日

回転座標系の運動方程式の導出(各式の中身を示して)

さて、今回は趣向を変えて、ごくごく普通の大学物理(教養課程)の話です。

現在、大学物理を再度勉強中なのですが、3次元の回転座標系の運動方程式の導出の説明が分かりにくい、というより、各式の各項が何を表しているのかの中身が見えにくいと思いましたので、それを示していきましょうということです。ちなみに参考文献は『力学』(学術図書出版社、植松恒夫著)。

この本ではベクトル一般の変換公式のようなものを作って、それを逐次適用していくような流れだと思いますが、ここでは、位置ベクトル、速度ベクトルといったように、順を追って示していきましょう。(ほとんど調べていないので、ネット上に似たようなものもあるかもしれませんが、苦笑)

まず始めに、以下の性質を押さえましょう。

「2つのお互いに対して静止している座標系があったとし、同じ現象をベクトルで記述するなら、2つの座標系におけるベクトル方程式は同一のものとなる。」

表現がまずい部分もあるかもしれませんが、要するに、一方にだけ別の力を記述しなければいけないような状況にはならないし、単に2つの座標系の位置の差や傾きによる差しかないという意味です。

よって、回転座標系の運動方程式を考えるにあったっては、具体的な(直交座標系等の)座標系の形はどうでも良く、ただ一つの座標系(静止系\(\rm S\)とする)とその座標系に対して角速度\(\boldsymbol{\omega}\)で回転している座標系(回転系\(\rm S'\)とする)一般について言えばよいかと思います。(※同日追記ちなみにここでは、角速度\(\boldsymbol{\omega}\)は一定として議論します)

さて、そんなわけで、まずは、位置ベクトル\(\boldsymbol{r}\)の変位についてみていきましょう。
まずは以下の図を示します。

rotacoordinate.png

さて、各記号の意味ですが、

\(\boldsymbol{r}\):時刻\(t\)での位置ベクトル
\(\Delta \boldsymbol{r}\):時刻\(t\)から\(t+\Delta t\)における、系\(\rm S\)からみた\(\boldsymbol{r}\)の変位
\(\boldsymbol{r}'\):系\(\rm S'\)からみて、時刻\(t\)での\(\boldsymbol{r}\)と同じ位置にみえる、時刻\(t+\Delta t\)での位置ベクトル(\(\boldsymbol{r}'=\boldsymbol{r}+\Delta \boldsymbol{r}\)なら、系\(\rm S'\)からみて位置ベクトルに変化はないということで、系\(\rm S'\)からみた変位の基準になるもの)
\(\Delta' \boldsymbol{r}\):系\(\rm S'\)からみた\(\boldsymbol{r}\)の変位(つまり、\(\boldsymbol{r}+\Delta \boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'\))

ここで、まずは、\(\Delta \boldsymbol{r}\)と\(\Delta' \boldsymbol{r}\)の関係式を求めるわけですが、やや論展開が大雑把な気もしますが、足りない部分は自分でやってもらうとして(笑)、以下の式が成り立つと思います。

\begin{equation}
\boldsymbol{r}'=\boldsymbol{r}+\left(\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}\right)\Delta t
\end{equation}
\begin{equation}
\Delta \boldsymbol{r}=\Delta' \boldsymbol{r}+\left(\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}\right)\Delta t
\end{equation}

ここで注意すべきは、これらの等式は、\(\Delta \boldsymbol{r}\)は系\(\rm S\)の座標系で測って、\(\Delta' \boldsymbol{r}\)は系\(\rm S'\)の別の座標系で測るなどして、各成分について成り立つ式というわけではないということですかね。由来となった系は違えど、全てのベクトルを共通の座標系で判断した時に成り立つ等式ということかと思います。イメージとしては系\(\rm S'\)の人から無線などで得た情報を系\(\rm S\)の人が系\(\rm S\)に書き加えているような状態と思ってもらえば良いと思います。

ここで各辺を\(\Delta t\)で割って、\(\Delta t \to 0\)とすると

\begin{equation}
\frac{{\rm d} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}=\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}+\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}
\label{eq1}
\end{equation}

さらにこれを、系\(\rm S\)からみて時間微分すると

\begin{equation}
\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)+\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d}\boldsymbol{r}}{{\rm d}t}
\label{eq2}
\end{equation}

・・・いや、待て!\(\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\)って何だ!?他の項は系\(\rm S\)から見たベクトルであるのに、\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)は系\(\rm S'\)から見た(速度)ベクトルではないですか!
いやいや、問題ないでしょう!そもそも元になった\(\Delta' \boldsymbol{r}\)も静止系でのベクトルと一緒に図1に書いているのですから、\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の系\(\rm S\)から見た変位だって表現できるでしょう。

そんなわけで、次は系\(\rm S'\)から見た速度ベクトル\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位についてみていきましょう。
まずは、図です。

rotacoordinate1.png

\(\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\)の始点を原点に平行移動した形です。すると、位置ベクトル\(\boldsymbol{r}\)(図1)の場合とそっくりになるわけです。(面倒なので、図も使いまわしです、笑)

各記号の意味も

\(\Delta \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\):時刻\(t\)から\(t+\Delta t\)における、系\(\rm S\)からみた\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位
\( \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)'\):系\(\rm S'\)からみて、時刻\(t\)での\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)と同じにみえる、時刻\(t+\Delta t\)での速度ベクトル
\(\Delta' \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\):系\(\rm S'\)からみた\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位

となって、\(\boldsymbol{r}\)の場合と同様に

\begin{equation}
\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)=\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}+\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}
\label{eq3}
\end{equation}

式\eqref{eq1}\eqref{eq2}\eqref{eq3}より、

\begin{equation}
\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}-2\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}-\boldsymbol{\omega}\times (\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r})
\end{equation}

質量\(m\)の物体について、\(m\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}= \boldsymbol{F}\)( \(\boldsymbol{F}\)は、系\(\rm S\)での物体にかかる力)なので、

\begin{equation}
m\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=F-2m\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}-m\boldsymbol{\omega}\times (\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r})
\label{eq4}
\end{equation}

これで完成(めでたしめでたし、笑)

得られた式が本当に正しいことを理解するためには、単に式を追うだけでなくて、何をやっているのかを理解するのが重要でしょうという話でした。

大して見直していませんので(おい!)間違えている部分もあるかもしれませんが、以上です!
しばらく冬眠予定です(勉強等に集中!)続きを読む
posted by ゴマフ犬 at 17:57| Comment(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする