2018年11月20日

回転座標系の運動方程式の導出(各式の中身を示して)

さて、今回は趣向を変えて、ごくごく普通の大学物理(教養課程)の話です。

現在、大学物理を再度勉強中なのですが、3次元の回転座標系の運動方程式の導出の説明が分かりにくい、というより、各式の各項が何を表しているのかの中身が見えにくいと思いましたので、それを示していきましょうということです。ちなみに参考文献は『力学』(学術図書出版社、植松恒夫著)。

この本ではベクトル一般の変換公式のようなものを作って、それを逐次適用していくような流れだと思いますが、ここでは、位置ベクトル、速度ベクトルといったように、順を追って示していきましょう。(ほとんど調べていないので、ネット上に似たようなものもあるかもしれませんが、苦笑)

まず始めに、以下の性質を押さえましょう。

「2つのお互いに対して静止している座標系があったとし、同じ現象をベクトルで記述するなら、2つの座標系におけるベクトル方程式は同一のものとなる。」

表現がまずい部分もあるかもしれませんが、要するに、一方にだけ別の力を記述しなければいけないような状況にはならないし、単に2つの座標系の位置の差や傾きによる差しかないという意味です。

よって、回転座標系の運動方程式を考えるにあったっては、具体的な(直交座標系等の)座標系の形はどうでも良く、ただ一つの座標系(静止系\(\rm S\)とする)とその座標系に対して角速度\(\boldsymbol{\omega}\)で回転している座標系(回転系\(\rm S'\)とする)一般について言えばよいかと思います。(※同日追記ちなみにここでは、角速度\(\boldsymbol{\omega}\)は一定として議論します)

さて、そんなわけで、まずは、位置ベクトル\(\boldsymbol{r}\)の変位についてみていきましょう。
まずは以下の図を示します。

rotacoordinate.png

さて、各記号の意味ですが、

\(\boldsymbol{r}\):時刻\(t\)での位置ベクトル
\(\Delta \boldsymbol{r}\):時刻\(t\)から\(t+\Delta t\)における、系\(\rm S\)からみた\(\boldsymbol{r}\)の変位
\(\boldsymbol{r}'\):系\(\rm S'\)からみて、時刻\(t\)での\(\boldsymbol{r}\)と同じ位置にみえる、時刻\(t+\Delta t\)での位置ベクトル(\(\boldsymbol{r}'=\boldsymbol{r}+\Delta \boldsymbol{r}\)なら、系\(\rm S'\)からみて位置ベクトルに変化はないということで、系\(\rm S'\)からみた変位の基準になるもの)
\(\Delta' \boldsymbol{r}\):系\(\rm S'\)からみた\(\boldsymbol{r}\)の変位(つまり、\(\boldsymbol{r}+\Delta \boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'\))

ここで、まずは、\(\Delta \boldsymbol{r}\)と\(\Delta' \boldsymbol{r}\)の関係式を求めるわけですが、やや論展開が大雑把な気もしますが、足りない部分は自分でやってもらうとして(笑)、以下の式が成り立つと思います。

\begin{equation}
\boldsymbol{r}'=\boldsymbol{r}+\left(\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}\right)\Delta t
\end{equation}
\begin{equation}
\Delta \boldsymbol{r}=\Delta' \boldsymbol{r}+\left(\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}\right)\Delta t
\end{equation}

ここで注意すべきは、これらの等式は、\(\Delta \boldsymbol{r}\)は系\(\rm S\)の座標系で測って、\(\Delta' \boldsymbol{r}\)は系\(\rm S'\)の別の座標系で測るなどして、各成分について成り立つ式というわけではないということですかね。由来となった系は違えど、全てのベクトルを共通の座標系で判断した時に成り立つ等式ということかと思います。イメージとしては系\(\rm S'\)の人から無線などで得た情報を系\(\rm S\)の人が系\(\rm S\)に書き加えているような状態と思ってもらえば良いと思います。

ここで各辺を\(\Delta t\)で割って、\(\Delta t \to 0\)とすると

\begin{equation}
\frac{{\rm d} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}=\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}+\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}
\label{eq1}
\end{equation}

さらにこれを、系\(\rm S\)からみて時間微分すると

\begin{equation}
\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)+\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d}\boldsymbol{r}}{{\rm d}t}
\label{eq2}
\end{equation}

・・・いや、待て!\(\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\)って何だ!?他の項は系\(\rm S\)から見たベクトルであるのに、\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)は系\(\rm S'\)から見た(速度)ベクトルではないですか!
いやいや、問題ないでしょう!そもそも元になった\(\Delta' \boldsymbol{r}\)も静止系でのベクトルと一緒に図1に書いているのですから、\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の系\(\rm S\)から見た変位だって表現できるでしょう。

そんなわけで、次は系\(\rm S'\)から見た速度ベクトル\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位についてみていきましょう。
まずは、図です。

rotacoordinate1.png

\(\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\)の始点を原点に平行移動した形です。すると、位置ベクトル\(\boldsymbol{r}\)(図1)の場合とそっくりになるわけです。(面倒なので、図も使いまわしです、笑)

各記号の意味も

\(\Delta \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\):時刻\(t\)から\(t+\Delta t\)における、系\(\rm S\)からみた\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位
\( \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)'\):系\(\rm S'\)からみて、時刻\(t\)での\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)と同じにみえる、時刻\(t+\Delta t\)での速度ベクトル
\(\Delta' \left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)\):系\(\rm S'\)からみた\(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\)の変位

となって、\(\boldsymbol{r}\)の場合と同様に

\begin{equation}
\frac{\rm d}{{\rm d} t}\left(\frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}\right)=\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}+\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}
\label{eq3}
\end{equation}

式\eqref{eq1}\eqref{eq2}\eqref{eq3}より、

\begin{equation}
\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}-2\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}-\boldsymbol{\omega}\times (\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r})
\end{equation}

質量\(m\)の物体について、\(m\frac{{\rm d}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}= \boldsymbol{F}\)( \(\boldsymbol{F}\)は、系\(\rm S\)での物体にかかる力)なので、

\begin{equation}
m\frac{{\rm d'}^2 \boldsymbol{r}}{{\rm d} t^2}=F-2m\boldsymbol{\omega}\times \frac{{\rm d'} \boldsymbol{r}}{{\rm d} t}-m\boldsymbol{\omega}\times (\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r})
\label{eq4}
\end{equation}

これで完成(めでたしめでたし、笑)

得られた式が本当に正しいことを理解するためには、単に式を追うだけでなくて、何をやっているのかを理解するのが重要でしょうという話でした。

大して見直していませんので(おい!)間違えている部分もあるかもしれませんが、以上です!
しばらく冬眠予定です(勉強等に集中!)続きを読む
posted by ゴマフ犬 at 17:57| Comment(0) | 物理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月16日

文字の鏡映反転は0%か100%の認識?

知っている文字(対称の軸はない)の鏡映反転については、0%か100%であって、人によって認識が分かれないみたいな考えがあるそうです。やろうと思えばどうとでもできるもので、明らかに間違いかと思いますが、意図的でなくとも、十分中途半端な割合になる気がするものの例を挙げようと思います。

mirrorcharacter3D.png

出っ張った文字「F」(見ないで触って確認)とその鏡像の比較

左右についてなどの反転感を質問する形で実験する場合は、このままだったら、鏡像と記憶上の文字「F」を比較する場合もありそうですので、出っ張った文字「F」を鏡文字(※同日追記:上下の向きは変えない)にしたものでもやってみると良いと思います。(比較対象が複数あって、それによって認識が変わる時点で0%か100%ではない気もしますが・・・)

比較対象を実物と鏡像に限定しても、どちらの場合についても、認識する人としない人が両方それなりの割合でいそうな気がします。

実際にはやってみないと分かりませんが、以下のような感じになると思います。

触っても形を認識できない→わかりません
上記以外で、実物の左右を自分の体(左右の肩等)や視線を基準にして判断する→左右の反転無し
上記以外で、実物の左右を文字に向かい合っていると想定した場合の自分の体や視線を基準にして判断する→左右の反転あり
(※同日追記:ちなみに、「文字に向かい合っていると想定した場合の」というのは、左右がどうなっているかの結果の説明であって、実際に想定しているとかいう心理的な過程を説明しているわけではありません。「本当にそんな想定をしているのか?」などのツッコミはやめてください、笑。そういった部分は私には分かりませんので。)

上下反転の認識は多分あまりいない。

前後反転は多分まあまあいる。こちらは、実物、鏡像共に自分の体や視線を基準にして判断しても、視線の動径方向、つまり奥行きの違いは認識しにくいと思うこと等に由来。(ちなみに、とある実験によると、表と裏で色違いの切り抜いた「F」を被験者に向けた場合、鏡に向けた場合は、前後反転を認識した人としなかった人の割合はほぼ半々だったらしい・・・、これもすでに反例になっている気が・・・。)

以上です。続きを読む
posted by ゴマフ犬 at 08:41| Comment(2) | ちょっとした科学の話など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月12日

回転の貢献度?

非常にくだらない話をします(笑)。

水平面上に時計の針のようなものがあって、今はそれが、南方向を指していたとします。
その状態から、針を回転させて北に向けることを考えます。
反時計回りを\("+"\)、時計回りを\("-"\)として考えましょう。

1回目の操作
針を\(+90°\)回転させる。
2回目の操作
針を\(+60°\)回転させる。
3回目の操作
針を\(+90°\)回転させる。
4回目の操作
針を\(-60°\)回転させる。

これでちょうど\(+180°\)回転であって針は北向きとなると思います。(北極だったらどうなるんだとかいうツッコミはやめてください、笑)
さて、各操作は針を北向きにするのにどれだけ貢献したでしょう?

ぱっと見、角度をそのまま貢献度としてしまえば良い気もしますが(貢献度の合計を\(100\)にしたければ、全てに\(100/180\)を掛けるなど)、それだと、3回目の操作の貢献度が+なのがなんとなく違和感が!
\(+180°\)を飛び越えて逆に遠ざかってますしね。

それならば、\(+180°\)との差の絶対値をどれだけ縮めたかで定義するとどうなるか?(貢献度の合計\(180\)で針が北に向くとする)

1回目の操作
貢献度\(90\)
2回目の操作
貢献度\(60\)
3回目の操作
貢献度\(-30\)
4回目の操作
貢献度\(60\)

これならできないことはないと思いますが、針を北に向ける際の回転角の合計は、\(180°+360°n(nは整数)\)なら何度でも良いので、例えば\(-180°\)回転なら、1~3回目の操作が全て負の貢献度(貢献度の合計も\(-180\)で負)になってしまう。つまりは結果が分かった上でしか定義が出来ないと思います。

それなら、\(180°+360°n\)のうち、最も近いものとの差の絶対値で定義すれば良いのかもしれませんが、そもそも1回目と3回目が同じ回転なのに、貢献度が違うってどうなのよという話(笑)。この場合限定でしか使い道がない気もしますし。

そもそも、貢献度なるものを考えることで、考えないときに比べて何か旨味があるなら良いのですが、回転角のただの言い換えでしかないなら、何の旨味もない(つまりそんなものを定義する必要がない)と思います。

まあ、貢献度やら、原因やらという位置づけにやたらとこだわる必要はないでしょという話です。
この場合に針が北を向いた原因が何かと言ったら、回転角の合計が\(+180°\)(であって他に何の操作もない)だから(十分条件)以上に何か言う必要があるのか?

やたらと因果みたいなものにこだわって、各操作の貢献度なんて考えても何の旨味もないんじゃないの?というお話でした。

以上続きを読む
posted by ゴマフ犬 at 10:19| Comment(0) | ちょっとした科学の話など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする